月別アーカイブ: 2023年11月

第二回おすすめ本は「夜来たる」アイザック・アシモフ先生の著作です。

「夜来たる」は、アイザック・アシモフ先生のベスト短篇だと言われています。
この作品は、アシモフ先生が作家として2年半のキャリアを積んでいた21歳の頃、
アスタウンディング・サイエンス・フィクション誌の編集長と、以下の詩について議論をしたことがきっかけとなって書かれました。

~もし星が千年に一度、一夜のみ輝くとするならば、人々はいかにして神を信じ、崇拝し、幾世代にもわたって神の都の記憶を保ち続ければよいのだろうか。by エマーソン~


「文明の崩壊する理由」についてのアシモフ先生の想いも読みとることができますよ。
立場を変えて、登場人物たちが、ああでもないこうでもないと語っていますので、要チェックです。

「夜来たる」は、何度読んでも、色褪せません。
どうしてなのでしょうか?
たぶん、こういうことに起因するのではと思います。↓

・地球上では当たり前なことを、当たり前でない視点からとらえる・・・非日常のワクワク感。
・刻一刻と近づいてくる日没=文明の終わりかもしれない瞬間を待つ登場人物のどきどきする心情。
・夜とはこういうものだとわかっていて、予測しながら読むことができる楽しみ。

2049年のサイクルでやってくる壮麗な「夜」と「星々」の世界を、一緒にどきどきしながら待ち、体験しましょう。

はねうまのマレビトの旅を終えて 

2023年10月から11月にかけて、私minarinは、「演劇クエスト はねうまのマレビト」の旅で、えちごトキめき鉄道 はねうまライン10駅を、まわりました。今年の秋は、暖かい日が多く、青空の日ばかりで、街歩きを楽しむのに最適だったなぁと思います。いちばん最初、駅のコーナーへ「はねうまのマレビト」の本をもらいに行った時は、ドキドキで。駅員さんから「あ、あの人、あの本持っていくんだ」って見られているような気がして。ただの自意識過剰(*^^*)なだけですけどね。

私はといえば、駅を利用するのは、旅行に行く時くらいで、現在の私のおもな移動手段は、車です。学生の頃は、自転車通学でしたし、上京していた数年間は、親が駅まで迎えに来てくれていましたので。その頃から考えても、駅を利用することはあっても、最寄り駅以外の駅周辺を歩くだなんて、めったにないことでした。私の利用頻度はさておき、えちごトキめき鉄道は、新幹線が乗り入れる駅もありますし、観光列車もいろんなイベントが増えて、輝きを帯びてきた感がありますね。

さらに時代をさかのぼり、脇野田駅付近に、新幹線駅ができる構想が持ち上がった頃から考えると、完成まで、結構時間がかかっていて。その間、通勤時、新幹線の高架工事の様子を毎日見ていたんです。ところが、高架はできたのに、いつまでたっても新幹線開通の一報がなく、本当に、この地に新幹線なんて走るのかなぁと、半信半疑の気持ちでいました。沿線が第三セクターの管理になると知った時も、「嘘でしょ⁉」とショックを受けたことを覚えています。「青春18きっぷ」のエリアから外れちゃうし、電車賃も値上げになるのね、と。「えちごトキめき鉄道」の名称も、どうして佐渡のトキがモチーフになったの? と、あれこれ疑問を感じることもありました。

さらには、えちごトキめき鉄道が開業した後も、「雪月花」に対して、「高いお金を払ってまで、こんな何もない景色を、誰が見に来るのだろう?」と正直、思っていました。お酒やお食事、設備だって、すごくいい企画には違いないけれど、あまりにも見慣れた風景を走るので、だいじょうぶかなと心配でした。この土地のよさやありがたみがわからなかったのですよね。たしかに、私がよその土地で暮らしていて帰省した際、田んぼの風景や妙高山を見た時、ほっとした気持ちを感じましたけれど。でもそれは、故郷に帰ってきたゆえに、よく思えるのでは? と。このよさが、マレビト(地域のコミュニティの外から来た人=稀人)に伝わるのかどうかは、体験していただかないとわかりませんものね。自分的に、妙高市は、自然に囲まれて、食べ物が美味しくて、それだけでよきところだと感じています。

妙高市は、ここ20年ほど、前の入村市長が、観光に力を入れて来ました。ありのままの自然を提供できるのが、妙高地域の素晴らしさなのだと。遅ればせながら自分も、そのことにようやく気づきはじめました。ただ、自然って、あまりに近づき過ぎると、脅威になってしまいます。その点、このあたりって、ただ緑が多いだけでなく、山や川が、人間を脅かさないくらいの絶妙なロケーションにあって。上越市も含めれば、北前船、城下町、春日山城、遺跡、など、人の歴史を感じさせる文化財が残っています。自然も歴史も、おいしいお酒や食べ物まで揃っているこの沿線は、深堀りすればするほど、素晴らしいところだと思えてきます。

長々語ってしまいました。最後に、妙高市文化ホール開館40周年記念事業 演劇クエスト 妙高・上越版 はねうまのマレビト のレビューは、これをもって終了します。コロナ禍で、移動が制限されていた最中、演劇クエストのような遊び心ある冊子を、無料で作って配布してくださって、本当にありがとうございました。

はねうまのマレビト 妙高高原駅編

江戸時代に設けられた「関川の関所」は、北国街道のなかで、佐渡金山の金銀を運ぶ道の、国境として重要でした。

「関所」は、古代、中世、近代にいたるまで、軍事防衛、情報規制、有力者の収入源、治安維持、旅人の監視など、その時代に合わせた役割を担っていました。織田信長が一度、関所を廃止しましたが、江戸時代で復活し、1697年に「関川の関所」が、設けられました。関所が完全に廃止されたのは1869年です。関所がなくなってからは、人の移動がたやすくなり、流通も活発化し、経済が発展していったといわれています。

今回の旅は、その「関川の関所」がゴールでした。「関川の関所」は、新潟県と長野県の、県境に位置しています。冒険の書には、地図がないので、山で迷って熊に遭遇でもしたら大変だと思いましたので、あらかじめ、Googleマップで行き先を調べ、スマホのGPSを頼りに行ってきました。

駅の近くに「妙高温泉」があり、「香風館」で、日帰り温泉入浴も可能です。

最初、妙高高原駅を背にして、左方向へ歩いていくと、分岐点があり、右手に急勾配の細い道「歩行者専用道路」が見えます。私はそこを通りましたが、落ち葉が分厚く降り積もっているので、雨が降ったらすべりやすいのではと感じました。とはいえ、香風館へ歩いて行く際は、近道になります。

駅から離れるとひたすら、登り道です。主要道路は広くて見通しがよいですが、歩く場合には遠回りになりやすいんですよね。かといって、土地勘がないまま、道を逸れて、古い石段や急勾配の獣道を行くのは、私有地を通ることになりそうで、できません。山道は、常に危険が隣り合わせ。ニュースでも毎日のように、「クマに注意」とうたわれていますから、油断はできません。

妙高高原駅から、天神社の御神木、大きなイチョウの木のある旅籠ろうそく屋のあたりまで歩くと、結構な距離があります。私は、観光案内所で車を停めて、香風館近くまで歩き、一旦戻って、関川の関所まで車を使わせてもらいました。逆に、関所の方面から「犬のくぐり道」を通って、旅籠ろうそく屋と天神社へ行くことにしたのです。※写真は、冒険の書の順に掲載しています。

犬くぐり道は、時代劇の決闘で出てきそうな、木立や川原のほとりを行くことになります。

犬くぐり道は、「クマに注意」の看板はありませんでしたが、この場所こそが、クマの一頭や二頭が出ても不思議を感じない場所でした。きっと「はねうまのマレビト」を読まなかったら、場所すら知らず、来ることはなかったでしょう。江戸時代、女の人が命懸けで通ったといわれるこの山道を、なんとも言えない身の危険を感じながら、通ってきました。

冒険の書に、「二人プレイ」とある通り、一人で行く場所ではないなぁと、肌身で感じました。パラグラフは、一人でも進められるので、関所に興味があるかたは、行って見て来られるといいと思います。ただし、倒木もあったので、気をつけてくださいね。大きな木に圧倒されて、秘密の山道が通れて、お土産のスイーツも買えて、最終的にはほっと一息つけました。次回は、温泉にも入りたいな。

もちや菓子舗さんのシュークリームに癒されました。

最後に、お土産購入のために立ち寄った「もちや菓子舗」さんのシュークリームは、焼き加減のちょうどよいシュー生地とまろやかなクリームが合わさり、食感がやわらかすぎないところも、とっても美味しかったです(๑>◡<๑) 月餅も独特の美味しさでした。愛のあるお菓子という感じで、また食べたくなる味でした。