第三回おすすめ本は「植物はすごい 生き残りをかけたしくみと工夫」田中 修 先生の著作です。

感想

こちらの「植物はすごい」は、植物の在りようを、身近なことを織り交ぜ、科学的に解説してくれて、時に情緒的かつユニークな感じもあり、とてもよみやすい本です。最初から順番に読むもよし、読みたいところをひろって読むもよし、オラクルカードを引くみたいにぱっと開いたページを見るもよしで、パラパラとめくっただけでも、読み応えがあります。

たとえば、

「『雨に濡れた桜の葉から、桜餅の香りが漂ってきた』ことに対して、『緑の葉っぱをもぎとって香りを嗅いでも桜餅のにおいがしないのに、どうしてなのか』の考察で、クマリンという物質が香ること~クマリンを発生させる物質の説明~葉っぱに傷がついたときに香りが出ること~香りは虫が嫌がる香りであること~桜の木は、虫にかじられた時に嫌な香りを出して葉っぱを守ろうとしていること~古い落ち葉からも同じ香りがすること~落ち葉が腐葉土になって、木に栄養を与えることで、親である桜の木を守っていること~」

など、内容についてだけ触れると難しそうな内容でも、わかりやすく綴られています。

遅ればせながら、私の場合、「植物は、気に入った環境で、すくすく育つ」と少なからず感じていまして、「植物って素直だわ」という思いで、こちらの本を手に取ったのです。読後はというと、「植物は賢いんだわ」という感想をもちました。自らが動けない分、あれこれと策を講じて、命を繋いでいこうとする姿は、「植物はすごい」のタイトルがぴったりです。

先日、樹齢1200年の杉の木を見てきました。そのような大樹を目の前にすると、普段は花木の面倒を見てるつもりの私も、逆にこちらが、守ってもらいたくなるものですね。枯れてしまう木や切られてしまう木もあった中で、それだけの年数、生き残ってきた木ですものね。杉の木なりの生きる知恵が、あったのでしょうね。

21世紀も、もうすぐ四半世紀が経ちます。田中修先生が教えてくださったように、植物たちと仲良くなり、お互いに恩恵を与え合って、共に暮らしていけたらいいな、と感じさせてくれる本でした。

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